しまなみ誰そ彼 1巻
書店でいつも気になっていた鎌谷悠希先生の《しまなみ誰そ彼》を、まずは1巻だけ買ってみた。
もう、手に取った瞬間思うのは、表紙のタイトルのフォント。かわいい。
フォントって大事だよなぁ。このフォントだけでも、購買力上がる。んー、たまらん。
なにより、この方の絵柄が大好きだから買ったって理由が一番大きいのですが(笑)
さてさて中身ですが。これは、良作。
読めば読むほど、妙な胸の痛みに、少しだけ涙が滲んだ。
話というよりは、絵が胸に刺さる。
だから、あまり言葉で語りたくないなぁ。簡素に簡素に伝えたい。
ストーリーは、主人公のたすくがホモ動画を見ていることをクラスメイトにバレるところから始まり、本人は自分は同性愛者ではないと否定します。その自分の吐く言葉、一つひとつが自分へ刺さっていくのが、なんとも痛くて切ない。
その場は誤魔化したものの、やっぱり不安ですよね。彼は、自殺を考えるのです。そこで出会った、というより目に入った不思議な女性「誰かさん」
彼女は彼を談話室へ誘うのですが、その談話室で出会う人たちも、何やら問題をかかえているようで、、、
1巻では、主人公の性への悩みや談話室のメンバーの一人のビアンの女性がスポットだったかなぁ。まだまだ受け入れられないLGBTね。
私自身、周りに普通にいるので、あまり珍しくもなんともないけれど、世間からの印象はこんな感じなのかもなぁ。うーん。
〝世間一般〟とも例えるべきか。人が無意識に作り上げた高くて厚い壁で囲まれた世界に苦しめられる彼女たち。その壁には、自分の一番理解者だろうと思っている、親や兄弟、親友なんかがいて。身内って、時折、自分の一番の敵ですからね。
恋人同士である二人の中でも、微妙な考え方の違いはあるのは当たり前で。すごく、人間を感じた。
主人公のたすくくんも、同じ学校に好きな男の子がいて、これがなかなかイケメン。
学校での自分の立場も守りたい、好きな彼に嫌われたくない、同性愛者であることへの迷いがある彼は、どのように成長していくのですかね。
しかし、ストーリーの内容に、どこか新鮮さがある訳ではない。一つあるとすれば、誰かさんという謎の女性の存在ぐらい。
受け入れるとも、助けるとも、寄り添うとも違う存在。本当に、掴み所もないけれど、掴むのも少し怖くなってしまうようなところがあり、これから彼女がどう作用してくるかが楽しみ。
今、なんだか心が寂しいなと思う人に読んでほしいですね。
どこかに、自分の居場所を作りたくなります。
ぜひ。